日本は地震が頻発するため、建物の耐震性は極めて重要です。詳細な耐震診断と最適化された補強設計を通じて、建物の安全性を高めることができます。自治体の補助制度を利用すれば、愛着のある自宅を手放さずに、安全を確保するための補強が可能です。新築の設計とは異なり、現状の把握が非常に複雑であるため、この分野では専門的な知識と経験が求められます。
通常、耐震診断には「一般診断」と「精密診断」という二つの方法があります。簡易的な一般診断に比べ、精密診断は補強工事を前提としたより細かい調査と計算を行います。 どちらの方法も、建物の耐震性能と劣化状況を評価し、耐震補強の必要性を判断します。診断結果をもとに、補強工事の概算費用を算出し、リフォームや修繕計画を含む建物の将来計画に合わせて、実現可能な計画を策定します。
主に建物の平面計画、窓や扉の配置、壁の材質、構造体の理解、劣化状況の確認などの調査を行い、お客様が今後どのような住まい方を望まれているかについてヒアリングします。
床、壁、天井の補強工事範囲を解体することになります。この写真の住宅では、暗い和室の天井を取り払い、開放的な広いLDKを実現するため、解体する範囲が広がります。
解体後、数十年前の建設時の状況が明らかになります。現在の基準から大きく逸脱している箇所やシロアリ等による劣化が発見された場合は、耐震補強を行う際にこれらの欠陥を補修することから始めます。
耐震補強以外にも、実際の生活に必要な明るさや暗さのバランス、温湿度環境の検討、子供の成長や高齢者との生活に合わせた間取りの調整なども重要です。工事のタイミングを合わせることで、不要な重複工事を減らすことができます。
工事が進行するにつれて、完成形のイメージがより明確になってきます。計画の初期段階から工事の進捗に応じて、常に最新の完成予想図をお客様と共有し、現場とのコミュニケーションを密にして誤解が生じないよう努めます。
木造の補強工事では、細部にわたる具体的な確認が必要です。外見が似ているが性能が異なる接合金物を使用すると、効果が逆になることがあるため、注意が求められます。
工事の最終仕上げで完成度が決まりますが、その仕上げ材の背後には多くの知恵と工夫が隠されています。信頼性の高い施工業者と、第三者の立場から監理を行う設計者の存在が欠かせません。